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2024.07.23
富岡製糸場
建築士会の研修旅行で世界遺産 富岡製糸場に行きました。
10年前世界遺産に登録されましたが、国宝・重要文化財・史跡にも指定されています。
早速ガイドツアーに参加。
当時世界最大規模の製糸場が富岡に設立した所以、
繰糸器技術の発達、
模範工場として全国から集めた工女への教育や仕事内容、
建築様式…
など、日本の近代産業がどのように発展したか、生糸業を通して学びました。
開国後の明治3年に計画が始まり、2年後の明治5年には主要な建物が完成して操業が始まったというので驚きです。
新紙幣で話題の渋沢栄一も設立に携わっています。
実家が養蚕業を営んでいたことが声が掛かった理由の一つだそう。
見学したのは上から見てコの字に配置されている東西繭置場と繰糸場。
その他にも敷地内には当時の建造物が多数現存しています。
2階まで伸びる通し柱の間にレンガが積まれた壁は、木骨煉瓦造と呼ばれる構造。
当時はモルタルが輸入品で高価だったため、目地は漆喰だそうです。
建築年代が違う建造物のレンガを見ると、品質や組積技術の精度の違いが良く分かります。
西繭置所。
2020年に保存整備工事が完了し、1階にはガラスの展示室やホールが設置されています。
2階では建築に使われている各部位の工法や部材と、当時の倉庫の様子が展示してあります。
乾燥場は大雪で倒壊し現在復元工事中。
仮囲いも景観に配慮されています。
全長140mの繰糸場。
操業当時の繰糸器がそのまま展示されています。
繰糸場の窓とガラスはヨーロッパから輸入されたものを採用しているそう。
柱のない大架構はトラス構造。
東繭置場。
1階のみ展示スペースで見学可能。レトロでかわいいです。
住居兼蚕室の断面図。
上が明治末期の「清温育」、下が昭和初期の「清涼育」で、それぞれ空気の流れを表しています。
どちらも空気の循環を良くする為、「越屋根(こしやね)」が棟部に設けられています。
普段意識していない為か見かけた記憶がないのですが、
群馬県内の道路を走っていると越屋根の家をいくつか見かけました。
養蚕業の名残なのでしょうか。
ガイドツアーを含め、3時間程度見学。
見どころが多く広い施設ですが、屋外見学や空調が効かない場所が多いので、すごく暑かったです。
時候の良い時期にゆっくり訪問されるのがおススメです。
後日訪問した群馬県立歴史博物館。
「日本開国と群馬の生糸-鉄道・蒸気船・電信-」という企画展が開催されていました。
富岡製糸場で見た内容以外に、生糸業を取り巻くインフラ産業がどのように発展したか、時系列で展示してありとても面白かったです。
企画展は2024/9/1(日)までですが、もし機会があれば是非。
両方見ることでより理解を深めることが出来ると思います。